第78期A級順位戦最終局~将棋界の一番長い日~ 大盤解説会レポ

浮月楼 イベントレポート
対局場の浮月楼 明輝館
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静岡の浮月楼で行われるA級順位戦最終局大盤解説会に参加してきました!新型コロナウイルスの影響で開催も危ぶまれましたが、このような情勢の中で開催してくださった関係者の皆様に感謝です。一斉対局を最後まで解説していただける、とても濃密で楽しいイベントでした!

概要

  • 日時: 2020年2月27日(木)14時~終局(翌1:00頃)
  • 会場:浮月楼 本館2階「月光の間」、本館3階「末広・高砂の間」
  • 参加費:1名につき3,000円
  • 解説者:豊島将之竜王 / 桐山清澄九段/青野照市九段/深浦康市九段/鈴木大介九段/中村太地七段
  • 聞き手: 香川愛生女流三段/加藤桃子女流三段/脇田菜々子女流1級
  • PC操作:勝又清和六段/上野裕和六段/上村亘五段/斎藤明日斗四段
  • 定員:420名程度
  • 申込み:ハガキまたは静岡市電子申請システムから申し込み。希望者多数の場合は抽選。

アクセスと会場について

浮月楼

対局場の浮月楼 明輝館

浮月楼は静岡駅北口から徒歩5分程度のところにあります。周りは商業ビルや飲食店などが多く賑やかな通りですが、門を入ると静かなお庭のある、素敵なところです。
今回、14時から解説会が開始されるということで、13時前頃に到着したのですが、既に受付が始まっていました。痛恨の出遅れ……。鮪丼ランチに気をとられている場合ではなかった……

解説会場は2階と3階に分かれており、好きな方を選ぶことが出来ます。どちらの会場も縦長の宴会場で、前方に大盤代わりの大きなプロジェクターが設置されています。今回は3階の方が空いていたので、3階の席を取ってみました。ぱっと見、2階が7~8割程度、3階が6割程度の人の入りでした。コロナウイルスの影響で参加をキャンセルした方も多くいらっしゃったのでしょうね……

ちなみに、解説の先生方は2階と3階を行き来するので、どちらが良いとかは特にないです。強いて言えば、2階の会場の方が少し明るかったので、写真撮影はしやすい気がしました。

無料でペットボトルのお水も用意されていました。すぐ近くにコンビニはありますが(徒歩1~2分の距離にセブンイレブンがあります)、嬉しいサービスですね。

解説会開始

まずは深浦九段香川女流三段のコンビで解説会が始まりました!PC操作は 斎藤四段
最初に、今日の対戦カードと降級争いの説明から。名人挑戦は既に渡辺明三冠に決定しています。降級争いは下記のとおり(久保九段の降級は決定しています)。

  • 木村九段負け⇒木村九段降級
  • 木村九段勝ち&糸谷八段負け⇒糸谷八段降級
  • 木村・糸谷勝ち&佐藤天彦九段負け⇒佐藤天彦九段降級

そして本日の対戦カードは下記のとおり。

  • 三浦九段ー渡辺明三冠
  • 佐藤康光九段ー羽生九段
  • 佐藤天彦九段ー稲葉陽八段
  • 糸谷八段ー久保九段
  • 木村王位ー広瀬八段

このとき、これまでの対戦成績も紹介されたのですが、佐藤康光九段ー羽生九段のカードは異質でしたね……他のカードは一桁台(8勝ー3勝など)だったのですが、こちらのカードは佐藤康光九段の54勝ー羽生九段の107勝!まさに桁違いです。深浦九段も思わず「斎藤くん、これ数字間違ってるんじゃないの?他の人と全然数字が違うよ!」と驚かれていました。A級の中では年長組のお二人、熱いですね……!

すでにのっぴきならない▲糸谷ー△久保戦

そして各対局の解説に移ります。まずは指し手が進んでいる▲糸谷ー△久保戦から。戦型は後手四間飛車の対抗形。序盤早々に後手の久保九段が仕掛けましたが、糸谷九段が反撃した局面でした(▲49手頃)。

2時半にしてかなり大事な局面ですね

これ、夜中の2時半じゃないよね!?

解説会が始まったばかりと言うのに、深浦九段がこう叫んでしまうほど、既にのっぴきならない局面を迎えています……!深浦九段によると、形勢はぱっと見先手が良いけれど、久保九段は身体を入れ替えるのが得意なのでまだ分からない、とのことでした。どきどきしますね。

深浦康市のすべらない話

続いて▲木村王位ー△広瀬八段戦の解説に移りました。こちらは矢倉調のじっくりとした戦いです。まだまだ長いということで、木村王位の話題になりました。関東組は関係者揃って新幹線移動をされたそうですが、対局者同士もけっこう席が近かったそう。そこで木村王位は「みんな仲良くなっていこうや~!」と仰っていたとか。対局者ながら朗らかな雰囲気で和みますね。

そして深浦先生お得意のすべらない話。すこし前のバレンタインデーで、深浦九段はお嬢様から手作りチョコをもらったが、木村九段はお嬢様からチョコレートをもらわなかった、という話を聞いてガッツポーズをしたそうです。それで、「何が言いたいかと言うと、木村さんは追い詰められているから今日は勝つしかないんですよ!」と激励(?)していらっしゃいました。とても嬉しそうにチョコレートのお話しをする深浦九段が面白くも、完全にお父さんの表情でほっこり。

長手数の読み筋を淡々と披露する豊島竜王・名人

解説&聞き手の先生方は交替でいろいろなペアで登壇されました。青野九段&脇田女流1級、中村七段&加藤女流三段の角換わりツアーペアなど、それぞれ面白い解説が続きました。そして夕食休憩前のペアは豊島竜王・名人香川女流三段

最初に▲糸谷九段ー△久保九段戦の解説。夕食休憩前ですが、既に終盤戦ということで、詰み筋の検討がメインとなりました。なんでもないことかのように、淡々と長手数の詰み筋を 様々なパターンで披露する竜王・名人に痺れました……。さらさらとお話しされるので、簡単そうに錯覚しそうになるのですが、とんでもない速さで指し手を読む竜王・名人の凄まじさを改めて実感しました。

あまりにも可愛すぎる「もしもし、豊島です」

夕食休憩前ということで、次の一手クイズの出題をする時間になりました。2階の会場で解説をしている深浦九段と豊島竜王・名人が電話で相談することに。スタッフさんからスマホを渡され「もしもし、豊島です」と竜王・名人が仰った瞬間、あまりの可愛らしさに会場がざわつくのを感じましたね……何というか、にこにこしながらも、その言い方がすこしだけよそ行き感があって、竜王・名人がスマホで通話しているというレアなビジュアルも相俟って、とても良いものを拝見したなあ……という気持ちになりました。これだけで来た甲斐があったと思いましたね。そして、電波状況が良くないのか、繰り返し「もしもし、豊島です」を繰り返すお姿があまりにも愛らしくぶっ倒れそうになりました。

そして極め付けは、どの対局で出題するか、という会話をされている時に「5局全部(解説)出来てます」という発言に対して、おそらく深浦九段が『すごいね!』みたいな反応をされたんでしょうね、すこし照れたように笑いながら「えへへ、結構がんばりました」ですよ……!あまりの可愛さにカメラを落としそうになりましたね……あぶない……三十路目前の竜王・名人がこんなに可愛いなんてたまげたなあ……

夕食休憩

ということで、先生方が18時~19時の1時間の夕食休憩に入られたので、大盤解説会も19時まで休憩となりました。この隙に自分も夕食を食べに行きます。あまりゆっくりしていられないので、近くのラーメン屋さんでさくっと食べました。浮月楼の周りは飲食店が沢山あるので、食べるとことには困らなさそうです。帰りにセブンイレブンで紅茶と糖分を購入して、夜戦に備えます。

解説会再開

木村王位ー広瀬八段戦で次の一手クイズ解説

夕食休憩後は豊島竜王・名人脇田女流1級のコンビ。 木村王位ー広瀬八段 戦から出題されたのですが、豊島竜王・名人の候補手は▲8八銀でした。ところが、正解の木村王位の指し手は▲6八銀。豊島竜王・名人の検討では一度も出てこなかった指し手に思わず「ビジュアル的に指しずらいと思っていたんですけど……はあ、王位戦で負けたのが分かるような……」とまさかの自虐ぼやきが零れました。

天彦九段と稲葉八段について語る竜王・名人

佐藤天彦九段ー稲葉陽八段の解説中に、お二人の印象を語ってくださりました。

稲葉八段とは、奨励会から切磋琢磨してきた仲で、逆転が上手い。佐藤天彦九段とは、名人戦を戦って、考え込むと脇息にもたれ掛かる、今日は(もたれ掛かり具合が)進化していた、とお話ししてくださったのですが、なぜか脇息について語っている最中ずっと左手を前後にぶんぶん振っていてとても可愛かったです。ずっとにこにこしながらこのお話しをしていましたし、もう何だか普段の対局姿からの落差が激しすぎて倒れそうでした……

心配性な桐山九段

解説・聞き手は立会人の桐山九段加藤桃子女流三段のペアに交代となりました。関東民なので、桐山九段の解説は初めて聞きましたが、はきはきと元気にお話しされていて、内容も分かりやすいし面白かったです。関西将棋会館ではよく解説されていますよね。関西の方うらやましいなあ~

そして渡辺三冠についての話題になったときの桐山九段が印象に残っています。A級順位戦を全勝で挑戦が決まったということで、「私、すごく心配。強敵で心配なの、分かるでしょう?」と弟子の豊島名人を心配する師匠。桐山九段の弟子への愛が尊かったです。将棋世界5月号で特集される「師弟」の記事も本当に楽しみですね。

最後まで将棋を楽しむ佐藤康光九段と羽生九段

続々と終局していく中、最後に残ったのは佐藤康光九段ー羽生九段戦。解説は豊島竜王・名人鈴木大介九段の豪華ダブル解説でした。降級争いに関係のない年長組の対局が最後まで残っているということで、鈴木九段も思わず「この二人、将棋を楽しみすぎでしょ!朝までやってるんんじゃない?」とすこし呆れ気味? ですが、この同期組が最後まで将棋を楽しんでいるのって、最高に尊いですよね……

この後の解説も「楽しんでる」がキーワードのやり取りが面白かったです。

ここはこう打って、いや~楽しんでるね~

楽しんでいるところ恐縮ですが、ここに飛車を打つと詰みます

早見えでどんどん指し手をやってみる鈴木九段に冷静にツッコむ竜王・名人(笑)鋭いです。

164手目△1七香が指されたのを見て、こんなやり取りも。

いや~……

豊島名人は楽しんでますか?

私はけっこう楽しんでます(にこにこの笑顔で)

真夜中でも将棋を楽しむ竜王・名人。そして何だかんだ言いながらも鈴木九段も楽しそうで、本当に棋士の皆さんは将棋を愛しているのだなあ、と実感しました。

そして1時13分。羽生九段が投了し、佐藤康光九段の勝ちとなりました。真夜中の激闘を終えた二人は、当然のように駒を初形に戻し始めます。それを見た鈴木九段は「これで平然と初手から(感想戦を)やる!」と驚きを隠せない様子。豊島竜王・名人も「たしかにこれは達人たち、という感じ」と笑っていました。そう言いながらも、終盤の解説・検討を10分ほど続けてくださる先生方もやっぱり楽しんでいるんだなあ、と思いました。

イベントが終了したのは、26時前。先生方の体力と気力の凄まじさ、そして将棋への愛を実感したイベントでした。ちなみに鈴木九段は、この解説会の翌日は常務会と仰っていたのですが、その翌日(イベントの翌々日)の佐々木五段との対局に勝利していました……!凄い!!

初めて参加しましたが、本当に充実した内容の濃い解説会で、あっという間でした。また来年もぜひ参加したいです。

記念扇子の販売もありました

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