ド級位者観る将の棋書紹介 『注釈 康光戦記』(佐藤康光)

注釈 康光戦記 表紙 棋書
スポンサーリンク

ド級位者(将棋ウォーズ4級、某将棋教室で認定6級)が観る将目線で棋書を紹介する企画です。今回紹介するのは佐藤康光九段による自戦記『注釈 康光戦記』です。将棋も文章も康光先生らしい個性あふれる内容で思わず一気読みしてしまいました!

概要

あしげの勝手な評価
  • 難易度:将棋は中級~、文章は入門~
  • 独創性:★★★★★
  • 自虐 :★★★★★

2004年8月に浅川書房から出版された佐藤康光九段の自戦記です。康光先生が2002年から「将棋世界」誌に連載した自戦記から14局を選び、それに注釈やインタビューなどの書き下ろしを加えたもの。Twitterにも書きましたが、まえがきから康光節が炸裂していて、もう文章も将棋も面白すぎる一冊です。

惜しむらくは本書が絶版であるということ……。ただ、それを補っても十分に価値のある一冊だと思います(自分も某古書店で偶然出会って手に入れました)。

将棋の内容はかなり難しいですが、解説も豊富ですし、とにかくインタビューの内容が面白いので棋力関係なく読んでみていただきたい一冊です。絶版ですけど。

みどころ① 棋譜を並べなくても面白い充実の文章

1局につき1~2ページほど書き下ろしで注釈やインタビューが掲載されているのですが、このインタビューが本当に面白いです。頭に来た話や、読み筋が合う棋士がいない話、新手にぶつかったときの気持ちなどを、時折康光先生らしい自虐を交えつつ、かなりストレートに語られています。もうこの部分を読むだけで元がとれます。

どれも興味深いお話ばかりなのですが、普段の研究に関するお話しや、将棋の考え方に関するお話しが特に面白かったです。この書籍をとおして、康光先生の真面目でストイックな部分が垣間見えて痺れました。たとえば、以下をご覧ください。

頭のなかで考えているテーマやアイデアは、どんな戦型でも10局面ぐらいはあります。戦型が10くらいですから、10×10で100くらいはある。私たちプロはそれがなくなったら終わりですから。

―中略―

私は詰みまで研究するタイプではありません。それでは終盤の勝負が楽しめない。私は幅広く研究するタイプなんですよ。私の研究は、全部の形を高いレベルで掘り下げる、という研究です。

佐藤康光 『注釈 康光戦記』(浅川書房)p.99

めちゃくちゃ格好良くないですか!?!???こういうことを自信を持って言えるのに本当に痺れます。こういう姿勢があるから、あの強さがあるのだなあ、と思いました。そして終盤の勝負を楽しむためにあえて詰みまで研究しない、という勝負師の側面に痺れますね……。アドレナリン・ジャンキー……。

みどころ② 唯一無二の康光将棋を堪能

そして康光先生と言えばその将棋の面白さが際立っていることで有名ですが、本書で取り上げられている棋譜もその例外ではありません。
実際に棋譜を並べてみると、常識にとらわれない自由な駒運びと、驚異的に耐久力のある康光玉に感動します。投了図での康光玉の状況に目を瞠る対局も多くあるのも特徴ですよね。絶対に真似できない、康光先生ならではの将棋、本当にワクワクして面白いです。ただ、並べ続けていると、あまりに独特すぎて自分のようなド級位者はちょっと混乱してきました(笑)。一度に大量に摂取すると危険かもしれません。

こんな感じで、将棋も文章もとても充実した楽しい一冊でした!本当に絶版なのが惜しいです。ということで、どこかで見かけたらぜひ手に取ってみてください!!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました